元気に働く高齢者、大事なのは自己実現だ。

(日経「春秋」2014/6/8付) 「万般の機械考案の依頼に応ず」。東芝の源流になるこの小工場を興したのは技術者の田中久重。75歳での創業だった。若いころ、からくり人形作りに没頭した田中は、幕末に精巧な置き時計を発明して有名になる。佐賀藩に招かれて蒸気機関車の模型を走らせ、郷里の久留米藩で大砲を造った。維新後、政府の求めで上京。要望通り電信機を完成させるが、それだけでは物足りなかったのだろう。高齢での起業も苦ではなかったに違いない。定年後、前から興味のあった分野で会社を設立したり、自営業を始めたりする人がもっと増えていい。元気に働く高齢者が広がれば社会保障費が楽になるメリットもあるが、大事なのは自己実現だ。中小企業白書によると、自分で事業を起こしたいという人のうち60歳以上の割合は2012年で16%あった。07年の11%から徐々に増えてきている。この流れを強めたい。
(JN) 何故、定年制度があるのか。これは、年齢に対する差別行為である、などといっても、若い者にはいつまでも年寄りに居られても困る。しかし、この高齢化を迎える社会、若者が全てを背負うには、頼りない人口構造になってしまった。年寄りも、働けるものは働くべきである。65歳を過ぎた労働者に、仕事の中での自由と名誉と責任を与えよ。大きな組織の中でも、起業した小さな組織の下でも、ここの年寄りの能力を引き出すべきでる。日本という国は、制度枠を大事にして、個々の多様性を疎かにする。多様な能力を持った年寄りにもっと頑張ってもらおう。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO72441740Y4A600C1MM8000/