金融緩和が企業や消費者の気持ちを変え、デフレ脱却へ道筋をつけた

(日経「春秋」2014/3/25付) 太平洋戦争末期の日銀総裁渋沢敬三は多才な人だった。標本や民具を集めて屋根裏博物館を設けた。民俗、社会、人類、考古といった人文科学の連携を提唱し、私財を投じて数多くの人材も育んだ。学術研究への評価は高い。が、日銀総裁としては軍の言いなり、お札を無制限に刷り物価高騰を招いたと批判されてきた。いまの黒田東彦総裁の学識も幅広い。経済学は英国仕込み、難解な哲学や数学にも詳しく、大学で教えた経験も豊富だ。文楽ファンで歌舞伎にも造詣が深い。学者肌は渋沢に通じるかもしれない。違うのは世間の声だ。この1年の大胆な金融緩和が企業や消費者の気持ちを変え、デフレ脱却へ道筋をつけたとの評価もある。もちろん歴史の審判はこれから。それにしても経済運営の相方である財務相の影が薄い。財政再建と成長戦略の両立という難題を前に、立ちすくんでいるようにみえる。財務省に取り込まれ「言いなり」に動いてもらっても、困るけれど。
(JN) その当時の政治経済への評価は、ある程度時間が経たなければ出すことはできない。渋沢敬総裁三のお札の刷り過ぎはその時代では有効であったのかもしれないが、それについての現在の評価は軍の言いなりとなっている。今の黒田東彦総裁は、今良い評価を得ているが、これが50年後、100年後には、どう評価されるであろうか。でも、その評価は、自分ではわからない。今生きている時に、これらのかじ取り役に私たちは評価を与えなければならない。それは、一般の我々には直接できないので、選挙や投稿などで積極的に参加をすべきである。それが未来の一般の人々に私たちが評価をされる。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO68803990V20C14A3MM8000/