食生活は普段は目に見えないところで支えられている

(日経「春秋」2014/8/10付) 夏休みに親子で楽しむ人気のイベントに、工場見学がある。今月初め、特別な工場見学に出かけた。7カ月間操業を停止していた旧アクリフーズの群馬工場である。この日はマルハニチロの直営工場として再スタートを切って5日目。以前には5台しかなかった防犯カメラは、間もなく172台にまで増やす計画だ。現場からは「ちゃんとやっているということを見てもらった方がいい」との前向きな感想が聞かれるという。ピザの最終工程では、2人の女性が段ボール箱を組み立て、流れてくる商品を点検し、梱包していた。休むことなく、手早く、丁寧に。淡々と作業が進む。私たちの食生活は、こうした普段は目に見えないところで支えられている。安全への取り組みを実感する工場見学で一番心に残ったのは、地道な仕事の尊さであった。
(JN) 私は、ビール工場やワイナリーの見学が好きである。最後のお楽しみのためであろうか、生産工程をワクワクしながら、美味しいものが生まれていく流れを楽しむ。この工場の作業は、繰り返し同じ作業を続ける。工程が違ってはいけない。正確に食品なら衛生を保って、行わねばならない。どんなに機械化しても、人の目や手が必要になる。子どもの頃は工場見学にて、その機械化の素晴らしさに日本の技術力を感じた。これが、今では機械化されてどんどん流れていくところも素晴らしいとそのスピードに魅了されるが、それ以上にその一部を担う人の能力にやはり感嘆する。これが信頼でもあるが、その信頼が裏切られると、その破綻のスピードも速い。そして、それを回復するには時間を要する。人の力は侮れない。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO75487590Q4A810C1MM8000/