猪瀬氏、初心に帰り汚名払拭に挑んでほしい

(日経「春秋」2013/12/20付) 晩年の森鴎外天皇の諡(おくりな)や元号に関する考証に精力を傾けたのはなぜか。「天皇の影法師」という本には、知的な興奮を。西武鉄道グループの研究。日本道路公団など政府系法人の解析。東京都の副知事だった頃、福島第1原発事故を引き起こした東京電力の企業体質にメスを入れてみせたのは、記憶に新しい。丹念に情報を集めて細部を掘り起こしながら、広い意味での権力のあり様を浮き彫りにしようとしている。結果からみると、東電問題への関与はあだになった観が強い。一方では副知事として東電病院の売却を促す。その一方で、東電病院の買収を狙った徳洲会から5000万円の現金を受け取る。知事辞職は当然だ。「晩節を汚してはならない」と石原慎太郎氏。初心に帰り汚名払拭に挑んでほしい、と願う。まずは辞職につながった一連の出来事の全体像を、みずから明らかにすることだ。血を流す覚悟で。
(JN) 処女作「天皇の影法師」を出したころの猪瀬氏と今の猪瀬氏は同じであるのに、変わり果てたものである。ペンも金には勝てないか、権力が欲しいか。驕った心を戻すのは難しいが、この際、どん底まで落ち、その勢いで塀の中まで落ちての復活を願う。猪瀬氏の作品に対するいちファンとしては、はやく執筆活動に戻って欲しい。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO64353820Q3A221C1MM8000/