「考えてはいけないんだ。思考停止。楽だぞ、思考停止」

(日経「春秋」2013/12/18付) かつて北朝鮮への「帰国事業」で半島へ渡った兄が、病気治療のため日本に戻ってくる。昨年の映画「かぞくのくに」である。兄は言う「考えてはいけないんだ。思考停止。楽だぞ、思考停止」。在日コリアン2世のヤン・ヨンヒ監督が実体験をもとに描いたこの作品には、北朝鮮という国をめぐる途方もない不条理感がただよう。民衆にひたすら思考停止を強い、独裁者への崇拝を求めてきたその王朝国家が、いままた新たに陰惨な表情を見せつけている。世の中にこれと似たものを探すとすればカルト集団かもしれない。あの禍々(まがまが)しきオウム真理教や、往年の連合赤軍にも相通じる妄念と闇とを国家として抱えつづけて異形の度合いは深まるばかりである。思考停止、思考停止。ただ自らの心にこう言い聞かせ、けれども必ず訪れるに違いない夜明けを待つ人々がいるだろう。
(JN) 北朝鮮は内部からこれを改革することができるであろうか。矛盾の拡大で不満が爆発するかの世はあるのか。思考停止している人民の全般頭脳を起こす方法は何があろうか。嘗ての日本やドイツも思考停止であった。これを解決したのが世界大戦であった。あのような惨事は二度と起こしたくない。この苦しめられている北朝鮮の国民をそのままにしておくことも思考停止だ。楽でいられる?
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO64247720Y3A211C1MM8000/