元首相が躍り出てきた図を都民はどう見よう

(日経「春秋」2014/1/23付) 銀座の天ぷら屋の息子だった国文学者、池田弥三郎は「東京っ子」と「東京人」を区別していた。江戸の昔から代を重ねてきた自分たちは東京っ子。東京っ子には田舎がないのさ……。それにひきかえ、帰るべき故郷をもつ東京人は東京に対して無責任だと先生は嘆く。「あとは野となれ式の獅子身中の虫」が東京をむしばんでいる。選挙になると風が風を呼び、ときに世を驚かせる大東京だ。433万票を集めた前任者があえなく辞任したのを受けて、時ならぬ都知事選がきょう告示される。元首相が躍り出てきた図を都民はどう見よう。昨夕の記者会見で、「還俗(げんぞく)」したその人は自身の力量と世間の声とを測りかねているふうでもあった。都の予算規模は約12兆円、スウェーデンの国家予算並みだという。それほど巨大な都市なのだ。東京人よ、あまり無責任なことでは困る。
(JN) 私なども父母に田舎がある故「東京人」であるので、東京を虫食んでいるのであろうか。投票は必ず行うが、選ぶに当たって本当に東京を考えているのかと考えるところはある。今回の都知事選は誰を選ぼうか、これは悩ましく、あのボックスにて票に記載するまで決断できないかもしれない。自分の親も年を取り、田舎が遠くなってきた今日此の頃、准「東京っ子」として真剣に老後を考えねばならない。そして何よりも立候補者が「東京っ子」として東京や日本を考えてほしい。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO65728960T20C14A1MM8000/