分裂をかけた住民投票も平和のうちに終わった

(日経「春秋」2014/9/20付) 日本人が初めてゴルフをしたのは1896年のことだそうだ。場所はロンドンのロイヤル・ブラックヒース・ゴルフクラブ。「世界で最も古い」という説もある、「1608年設立」のこのゴルフ場を生んだのは2つの王朝が交錯する歴史的な出来事だった。1603年にイングランドの女王エリザベス1世が亡くなったとき、あとを継ぐべき子はいなかった。お鉢が回ってきたのが、スコットランド王のジェームズ6世。長年いがみあっていた両国は、このときから1人の君主の下に収まることになった。ロンドンに引っ越したジェームズは故郷から人を呼んで、7ホールのコースを王立公園のなかに造らせた。これが400年を超えるブラックヒースの歴史の始まりという。スコットランドイングランドが合併して1つの「連合王国」となるのは、さらに100年ほど後のこと。このときも事態は平和的に進んだ。おととい、およそ300年ぶりの分裂をかけた住民投票も平和のうちに終わった。自分との闘いこそが問われるゴルフの奥深さに、どこか通じるような。そんな感想をふと抱いた。
(JN) 暴力による不満の発散やその無理やりの解決が如何に無駄であり、後にしこりを残して行くか、それは人びとが歴史で学んでいるはずだが、人類の歴史は暴力の歴史である。スコットランドとイギリスの歴史とて同様だろうが、流石に成熟期を過ぎた国家では、若々しい暴走ではなく、老人がゲームを楽しむようでもあったと思うのは、第三者は勝手に思うところであろうか。これは、女王陛下の民主主義国家のなせる業か。でも、もし、Yseが勝っていたらどうなったろうか。ひょっとすると、まだゲームは続いていて、次のホールに向かうのか、ゲームは終わっていない? いずれにしても、平和にことは進めてほしい。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO77333570Q4A920C1MM8000/