ーツの襟に汗がぽとぽと落ちて染みをつくる様子

(日経「春秋」2013/12/11付) テレビの画面、かつてのアナログ放送は、この走査線の数が525本だった。それがデジタル化で1125本と倍増し、画質のきめ細かさは旧時代の比ではなくなった。だから昔なら見えなかったものだって見えてしまう。猪瀬直樹知事はテレビのこういう進化を恨んでいるかもしれない。都議会総務委員会で連日の追及を受け、ひどい狼狽(ろうばい)ぶりが映し出されてしまったからだ。ニュース番組のきめ細かな映像は、スーツの襟に汗がぽとぽと落ちて染みをつくる様子までとらえていた。去年のいまごろ、知事選で433万票を集めて圧勝したときの得意満面。まだ3カ月前、東京五輪招致の最終プレゼンテーションに臨んだときの意気軒高。猪瀬さんのただならぬ浮沈をありのままに見せてくれる1125本の走査線である。さて、もうひとつの線――検察の捜査線がどこへ伸び、どう踊るかは知らないが。
(JN) 猪瀬さんの様なペンで闘う者も、地位と名誉を持ち始めるとお金の力が必要になってくるのか。そして保身に走る。その姿がテレビのデジタル化で我々一般の者にも見えてくる。こんな者に都民は票を投じたのです。嘘を暴く者が嘘をつくと汗も出ようか。ペンの力よりもデジタルの1125本の方が嘘をつかないし、現実を明らかにするとは。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO63905810R11C13A2MM8000/