ガクチカ

(日経「春秋」2013/12/2付) 「ぼくの場合、いいガクチカがないんで弱ってます」。ガクチカとは、「学生時代に力を入れたこと」です。エントリーシートはES、合同説明会はゴウセツというらしい。こういう言い方が出てくる背景には就職活動をパターン化、マニュアル化してとらえる意識があるだろう。学生のあいだで理想的なガクチカとされるのは「被災地でボランティア活動に汗を流した」といった体験なのだという。今年も就活シーズンが本格的に始まった。ガクチカはどうしようかと悩み、ガクチカ自慢の友人をうらやむ不安な顔が目に浮かぶ。けれど考えてみてもいい。採用側はそういう「いかにも」な答えばかり期待しているかどうか。まあ、お見通しのはずだ。揺るがぬ新卒一括方式、無言の同調圧力は一糸乱れぬリクルートスーツの異観を生んだ。ユニークな人材求むと言いながら「出る杭(くい)」を退け、学歴不問を唱えつつ大学名で門前払い。求人求職双方、いっこうに呪縛の解けぬこの国の就活風景である。
(JN) 学生たちが「ガクチカ」というなら、社会人の我々は仕事以外に力を注いでいることは何であろうか。略して「シャカチカ」はちょっと無理はあるが、人生は仕事だけでは空しい、何か社会貢献をしているだろうか。せめて自分のやりたいことをしているであろうか。或いはコッソリ投資をがんばって損をしているであろうか。あなたはどんな方ですかと聞かれたとき、職場のことしか言えないようでは、「シャカチカ」無いことになる。どうしよう。大体、退職が近づいてきたこの人生、力がなさ過ぎで、濡れ落ち葉か。就職してからも、周りのを覗きながら「出る杭」とならないようにしてきた結果であろう。若者にそんな先のことを言っても仕方ないであろうが、「悔いを残さず」、「出る杭となれ」。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO63445490S3A201C1MM8000/