法案を通してしまったことの悔恨は忘れたころにやってくる

(日経「春秋」2013/12/3付) タイムマシンが欲しいよ、「ゴールデンボンバー」がこう叫んでいる曲を聴いた。かの法律が独り歩きしそうな未来が心配で、ちょっと覗(のぞ)いておきたいのだ。特定秘密なるものの範囲が極めて広くあいまいで、お役人がその気になれば何だって秘密にできる。そもそも何が秘密かうかがい知れないのだから戦慄すべきである。最高刑は懲役10年と重い。この法案を通してしまったことの悔恨は、たぶん忘れたころにやってくる。「秘密保護法違反容疑で記者を逮捕」。そのニュースでは、具体的な被疑事実も明かされまい。1強支配の政権党にその気配はなく、石破茂幹事長が反対デモをテロ呼ばわりする始末である。さすがにあわてて撤回したが、世間ではこれを増長と言う。タイムマシンが欲しいよ。この法律がなかった昔にかえりたい。そう悔やむ時代の到来が怖い。
(JN) 自民党や国家行政は、これまでのことで隠したいものがそんなにあるのか。また、これからそんなに秘密を作りたいのか。慌てて法律と成立させねばならない理由は、どこにあるのか。十分に世論で意見を闘わせ、そして選挙にて国民の意見を取り入れることができないのか。国民の知る権利を国の力で決めてしまっては、日本は民主主義国家ではなく、国家主義となってしまう。それを選ぶのも国民である。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO63511120T01C13A2MM8000/