守るべきは捕鯨国のメンツではない

(日経「春秋」2014/9/18付) きょうのおすすめは? 「アジにブリに、それにクジラだね。うまいよ!」。長崎のすし屋で、こんな場面に出くわした。こちらも尾の身のにぎりなど食してみれば、なるほどこれはうまい!聞けばこのあたりではかつて沿岸捕鯨が盛んで、それが途絶えたいまも鯨食文化はしぶとく生き残っているそうだ。鯨食文化をあたまから否定する反捕鯨国の独善は困ったものである。しかしだからといって、国際司法裁判所から中止命令を受けた南極海での調査捕鯨になおこだわるのが現実的な作戦かどうか……。スロベニアで開催中の国際捕鯨委員会(IWC)で、調査捕鯨継続を訴える日本は批判の矢面に立たされている。遠い南極海での捕鯨固執するより、地域に密着した、伝統的な沿岸捕鯨の拡充をはかったほうが理にかなっていはしまいか。かの長崎のすし屋ではないけれど、昔からクジラを食べてきた土地では調理法だって相当なものなのだ。守るべきは捕鯨国のメンツではなく、鯨食文化である。
(JN) 自分の居住地の近くが荒らされていれば、文句も出よう。自分の土地ではないが、身近な大事な生き物たちが殺されていけば文句も出よう。しかも、そのことを行っている連中は、そのことを行わなくても生活ができる者たちだ。また、世界的にも止めようとい趨勢の中、なぜそんなに向きになるのか。私も、昭和30年代までは、鯨肉のおかげで育ったが、だからと言って、これが無くてはならないといことではない。私たち自体の食生活が変化をしており、文化として残すことは良いが、国が向きになって調査のために捕鯨することをいつまでも推進すべきなのか。この味を残したいなら、また食べたいと希望する者が多くいれば、その偽物も出て来ようが、それが多くの収益を上げるような状況にはないということは、調査捕鯨の必要がないのではないか。地域文化、食文化を調査することの方が大事でしょう。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO77205950Y4A910C1MM8000/