醜いことはずばり「ミタクナイ」

(日経「春秋」2013/9/15付) 今年の流行語大賞は「じぇじぇ」で決まり? などと小欄では4月末に早々とこの言葉を紹介させてもらった。北三陸の、限られた地域での言葉だというがこの語感はたしかに耳に残る。方言の豊かさ、奥深さはなにも「じぇじぇ」だけではない。河北新報連載のコラムをまとめた「とうほく方言の泉」に。たとえば「イタマシイ」が東北では惜しい、もったいないの意味も持つ。心の痛みを人だけでなく物にも向けるのだ。「サスケネ」というのは大丈夫だよ、の意である。「サシツカエナイ」が転じたらしく、東北の発音の特徴が詰まっているという。運良く食べ物にありつくさまは「クチバシナガイ」、逆にもらい損ねるのは「クチバシミジカイ」だというから要領のいい人、わるい人のイメージが浮かぶ。容赦のない表現もあって、醜いことはずばり「ミタクナイ」と言うそうだ。原発の汚染水対策をめぐる迷走など、本当にミタクナイ。
(JN) 「ミタクナイ」現実を見続けねばならない。でも、私たちの人生はそれぞれは70〜80年であるので、見ないでいるうちに人生を全うすることもできる。それで「サスケネ」のであろうか。我々には行わねばならないことが沢山ある。東北の被災地とともに自分たちのあるべき姿を見なければならない。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO59760920V10C13A9MM8000/