いい旅を通じ、人生を豊かにするような刺激を

(日経「春秋」2014/8/9付) 「若者よ、旅に出よ」と、思想家の東浩紀さんが近著「弱いつながり」で呼びかけている。同時に、その旅を充実させるために2つ助言をしている。いつも通り携帯端末を持ち歩き、ネット情報をフル活用せよ。同時に、フェイスブックなどでの発信は一切やめよ、と。普段は自分の関心事ばかり調べている人が多いはず。旅先で初めて耳にする知識や地名をすぐ検索することで、縁のなかった分野について知る。それが旅の効用だ。ここで友達向けの報告や投稿に力を入れてしまうと、未知の面白さを見過ごす。ネット情報は、あまりの便利さを、ふと恐ろしく感じることがあるが、すべては使う人次第だろう。ネットをより上手に使いこなすためにこそ、海外や東北の被災地などに実際に足を運び、風景や人、物に出会おうと東さんは語る。夏も盛り。休暇中の学生や若手社会人も多かろう。いい旅を通じ、人生を豊かにするような刺激を受けてほしい。
(JN) 旅にもいろいろ、それぞれの人の考えがあるように、旅のしかたも様々であろう。旅は、このようにすべきというのでなく、自分で見つけ出しに行くのが旅なのであると考える。仲間と行くのも良し、一人でも良し、若者ばかりでなく年寄りだって、自分たちでプランを立てて未知な世界や好きな世界へ出かけるべきである。それは経費の掛かる遠方である必要はない。まずは、地図をにらみ、ネット検索をして、行くところ探し出すのも楽しい。そこの何があるのか、あとは行ってみなければわからない。さあ、夏休みです。若者だけでなく、「おばあ」や「おじい」も旅にでよう。そして、フェイスブックでその楽しさのほんの一部を他人と共有しよう。東氏は「フェイスブック等での発信を一切やめよ」、「未知の面白さを見過ごす」というが、私は現在のところ利用する予定である。でも、『弱いつながり』を読んでその趣旨に同意できれば、その旅での利用は考え直しましょう。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO75456420Z00C14A8MM8000/