マイナスは隠し、能書きは多くという従来の商売とは逆

(日経「春秋」2013/8/26付) 「ようこそ日本一あついまちへ」。高知県四万十市は、お盆の時期、観測地点に近い地元産品の直売所を訪れた客は、平年の6倍に達したという。急きょ開いた、激辛うどんを皆で食べる催しも盛況だったと。緑に囲まれ清流が流れる土地であり、暑いといっても蒸し風呂のような大都市の暑さとは、しのぎやすさが違う。「日本一涼しい」街が観光客でにぎわうならともかく、なぜ暑い街をわざわざ人は目指すのか。暑さ日本一になったとたん、逆手にとってのPRや催し。小説「県庁おもてなし課」を書いた有川浩さんも、いま客はその土地ならではの物語を体験し、持ち帰りたいのだと指摘する。暑さや不便さも物語の一つだ。いま消費者は情報の多さに疲れていると野村総合研究所は分析する。その点「日本一暑い」は特徴が明快だ。皆が知っているから、近所や職場でも話の種になる。マイナスは隠し、能書きは多くという従来の商売とは逆の発想も、時に有効だ。
(JN) 情報過多は選択のためにならない。いかに簡素に分かりやすくできるかだ。情報だけでなく、昔からの有名観光地になると商品も過多になり、何処へ行って良いのか、土産を買うのには何が良いのか、うんざりする。その点、私たちは一番が解り易くて大好きである。一番に行ってみたくなる。良くても悪くても一番。一番に敵うものなしである。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO58925090W3A820C1MM8000/