結婚と離婚を繰り返して法的な親の時間を分かち合っている

(日経「春秋」2013/8/21付) 一か月ほど前の英国では、「It’s a boy!」であった。子どもを持った夫婦がまず受ける質問だろう。ところが、先日、生後9カ月の子がいるスウェーデン人と話す機会があった。「で、どっち?」に答えは「まだ赤ちゃんです」。性別は子ども自身が将来選び取るものであって親が押しつけるべきではないから、という。それだけで驚いたが、33歳の男性2人と34歳の女性1人の3人が親で子が1人の4人家族と聞いて、より驚いた。法律上の親には2人しかなれないから、「結婚と離婚を繰り返して法的な親の時間を分かち合っている」。こうした家族はかの国でも社会規範の外にある。男でも女でもない赤ちゃんを指す代名詞も3人目の親を指す単語もない。3人で1つの口座を作ろうとすれば「そんなバカな」と言われた。でも若者3人は前向きでおおらかで真剣である。男とは女とは。そして家族とは。当たり前と思っていて当たり前でないことがある。
(JN) 人の生き方、人生の考え方も様々、とはいうものの固定観念の塊であるわが心には、親が3人ということはなかなか理解できない。「まだ赤ちゃんです」というのはなるほどそうかもしれない。赤ちゃんの性はどちらでも良いことであるが、将来自分で決められるものか、疑問である。今、当たり前が、1年後には違った解釈になる時代、どうなって行くのか。今こうだと思っている家族というものが崩壊して、何が私たちの生活の核になるのであろうか。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO58742460R20C13A8MM8000/