缶詰を生みだした能力、缶詰意を活かして活躍する能力

(日経「春秋」2013/7/29付) 19世紀のはじめナポレオン政権は、食べ物を長もちさせる方法を懸賞金付きで公募した。ニコラ・アペールは、密封して加熱殺菌するという手法、缶詰の原理を発明した。アペールはもともと優れた料理人で、乾かしたりいぶしたり、といった伝統的な保存方法に通じていて、味わいや食感に物足りない思いを抱いていたらしい。試行錯誤をくり返し、たどり着いたのが缶詰の原理だった。この特長を生かして21世紀に新しいビジネスを立ち上げたのが、川端嘉人氏だ。世界各地から調達した缶詰をそろえた飲食店をフランチャイズ展開している。調理が不要なのでコストは抑えられる。起業に向いているという。川端氏は芸術家だ。ビジネスの世界に身を置くようになって創作に打ち込める時間は減ったが、店舗の内装などビジネスに芸術を生かしている面もある。シェフならではの才覚で缶詰を生んだアペールに通じるところがありそうだ。シュンペーターのいう「創造的破壊」の現場では、そんな才能こそ必要なのかもしれない。
(JN) 戦争の良い悪いは別として、戦争は常に破壊を繰り返すとともに、創造的発展を生みだす。それは武器類に係ること以外でもあり、私は米テレビ番組のコンバットにて、視覚に入っていた。ヘンリー小隊長やサンダース軍曹が率いる兵隊たちは、美味しそうに缶詰やチョコレートを食べていた。あの第2次大戦中に、日本軍はどれほどの食事ができていたのか。人間を大事にしようとする創造力の無い国には勝ち目はなかった。現在の戦線でも、国民や社員を大事にする心無くしては、創造的破壊も生まれまい。国民や社員の才能を活かすことを国家は考えねばならない。なんてことを言っている小市民からは何も生まれないかな。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO57850210Z20C13A7MM8000/