鯨食がますます廃れていく仕儀だ

(日経「春秋」2013/7/18付) むかしは江戸の海にも鯨がやってきたらしい。寛政10年(1798年)5月、沖合に迷い込んだ大物を漁師らが捕まえ、将軍の上覧に供する大騒動となった。供養のため、のちに塚を築いたという。こういう風習は日本中にあった。苦心して捕獲した鯨をあますところなく利用し、その恵みに感謝して霊をとむらったのだ。南極海での日本の調査捕鯨中止を、オーストラリアが国際司法裁判所(ICJ)に訴えた裁判が結審した。世論があまり盛り上がらないのは、鯨を食べる機会がめっきり減ったせいでもあろう。狂信的な団体の妨害もあって捕獲が減り、鯨食がますます廃れていく仕儀だ。鯨塚を築いた先人たちの思いを、どうしたら引き継げようか。
(JN) 鯨肉で育った者として、クジラに本当に感謝したい。もう、鯨肉を食べる必要はないであろう。クジラと協同できるような生活ができないであろうか。馬鹿なことを言うじゃない、と申される方も多くおられるであろうが、我々人間は新しいものを生みだす力がある。大事なものを維持し、新しい生活を組み立てて行くべきである。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO57468590Y3A710C1MM8000/