あと2日間、候補者の主張に耳を傾けたい

(日経「春秋」2013/7/19付) 巨体のゾウが鳴き声を上げると、その迫力に思わず後ずさりする。ライオンの咆哮(ほうこう)には、風圧すら感じる。体が小さくても大きな声を出す生き物もいる。音量を体積比で競ったら、断トツで1位はセミではないか。音源の「シンバル」と、音が共鳴する広い「教会」が、おなかの中に仕組まれているそうだ。発声に関わる器官が体全体の4分の1も占める。まるで楽器のような、鳴くために生きる小さな命である。気象庁によれば、東京では平年より約2週間も早くアブラゼミの初鳴きが観測された。選挙戦で走り回る拡声器の声が重なり、にぎやかな夏である。ファーブルは一つユニークな実験をした。セミが鳴く下で大砲を撃ち、反応を観察した。少しも動じず、鳴きやまなかったため「セミが大声なのは耳が遠いから」と断じている。でもそれは間違いではなかろうか。雌がしっかりと聞き分けているからこそ雄は叫んでいるはずだ。あと2日間、候補者の主張に耳を傾けたい。
(JN) 候補者の声に耳を傾けて、それが大風呂敷と隠しごとの塊では。しかし、我々には選挙により議員を選ぶことを放棄してはならない。暑い中の拡声器から聞こえる声に、同じような声だが、確りとその中から真実を見出して行こう。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO57505560Z10C13A7MM8000/