やみくもな開発を進めれば地球環境を

(日経「春秋」2013/5/17付) ヴァスコ・ダ・ガマはアフリカ大陸の南端を回ってインド洋入りした。マゼランは南米大陸南極大陸の間を通って太平洋に出た。グローバル化の始まりともいえる大航海時代を切り開いた欧州の人たちは、実はもっと便利なルートの可能性に気がついていた。北極海を突っ切る北極航路だ。ただ、実現には巨大な障害があった。氷だ。冬場には全域が凍り付き、夏場でも海氷が漂う北極海は、新しいルートの開拓を目指す船乗りたちの命を奪ってきた。北極航路が現実味を帯びてきて再び熱い視線を集めるようになったのは、20世紀の終わりごろだ。そして17年前、米国やロシアなど北極圏の8カ国が話し合いの場として設けたのが、北極評議会だ。やみくもな開発を進めれば地球環境をさらにそこない、資源争いは国と国の間にあつれきをもたらしかねない。評議会が果たすべき役割は大きい。中国や韓国などとともにオブザーバーとなった日本の責任も、軽くはない。
(JN) 欧米は常に自然と闘いそれを自分たちのものにしてきたが、それもいよいよ極地へと入ってきた。地球内においての資源を消費する以上、それは有限であり、また二酸化炭素等の発生を招く。原子力はその危険性と廃棄物をどうするか。日本の心は自然と調和する文化であったはずが、知らぬ間に欧米化してしまったのであろうか。あの自然の中にいる幸せを取り戻し、またその素晴らしさを他文化の人々にも教えてあげたい。日本にはそういう使命があるのではないか。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO55137700X10C13A5MM8000/