「庶民のマグロ」日本が守ろう

(日経「社説」2013/1/9付) 今年の初セリで1匹1億5千万円を超す史上最高値を記録したクロマグロは、上質なトロがとれるためもっとも値段が高い。一方、価格が手ごろなのがメバチだ。その「庶民のマグロ」の資源減少が危惧されている。主漁場である太平洋域の現状はとりすぎで、中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)の科学委員会が繰り返し漁獲抑制を求めている。缶詰の需要は旺盛で、島しょ国にも大きな利益をもたらしている。多くの国の利益がからむ巻き網漁で厳格な規制策をまとめ、確実に実行することは容易でない。しかし現状を放置すれば資源の減少は続く。効果的な漁獲規制の導入には、島しょ国に資源を持続させる重要性をわかってもらう努力が欠かせない。クロマグロの教訓をいかし、日本が各国を規制の合意に導かなければ、メバチも庶民の口に入りにくくなる。
(JN) 漁業資源は一国の中にとどまるものでなく、広い海原の共通財産である。メバチに限らず、漁業資源については漁業先進国であるべき日本が調査を基に、また我々の未来を考え、関係国との調整を行い、ルール作りを行うべきである。また、これまで荒らしまわった海へのお返しとして、日本は漁業資源の維持に役立たねばならない。これは1月6日のところでも述べられたように、ルール作りは日本の生きて行く道の一つである。現政権は今後、大国に目を向けるばかりでなく、漁業資源を本当に必要する島しょ国へ心を向けて行きたい。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO50409820Z00C13A1EA1000/