花粉症はつらいが、スギに罪はない

(日経「春秋」2013/3/2付) 「壱岐で春に入り最初に吹く南風をいう。この風の吹き通らぬ間は漁夫たちは海上を恐れる」。民俗学者宮本常一が「俳句歳時記」に寄せた「春一番」の解説である。本格的な春も間近だ。それはそれでうれしいが、目や鼻のむずがゆい感じで、あのうっとうしい季節が始まったと顔をしかめている人も多いに違いない。今年の花粉の飛散量は昨年を上回るそうだから備えは怠れない。先日、東京の日比谷公園富山県が植樹した無花粉スギ、「立山 森の輝き」は県の研究所の職員が富山市の神社で偶然発見し、他の品種と掛け合わせて花粉が飛ばない高品質のスギをつくる体制を整えた。花粉症はつらいが、スギに罪はない。宮本は「自然と日本人」に収められた講演録で「一本一本を植え、その努力が作り上げた風景だと思っていつも胸を打たれる」と話している。先人が残した森をコツコツと変えていくしかあるまい。
(JN) ずっと目を瞑っていたい。できれば息もしたくない。そんな季節がやって来る。暖かくなるのは嬉しいが、これからの約2か月はスギを恨む。しかし、南風にもスギにも罪ない。コツコツと植え替えをお願いします。それより、西風が問題だ。大気汚染は人類の罪あり速やかに中国との協力を行い住みやすい北京にして欲しい。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO52331660S3A300C1MM8000/