町場の業者がこんなに頑張っている食品は珍しい

(日経「春秋」2013/2/25付) 「カツ丼1丁!」、「パンツ一丁」、カツ丼もパンツも同じ「丁」で数えるとは摩訶(まか)不思議だ。景気づけのために数詞に添える語だと、飯田朝子中央大教授。一丁やってみろ、も同類だ。それとは関係なく使う「丁」もあって、豆腐を数える「丁」がそのひとつ。丁というのは偶数の意味でもあり、かつては2個で1丁だったのが1個で1丁に転じたらしい。寒い夜は湯豆腐で一杯やるのもいい。時代が変わっても、この食べ物はしぶとい。ただし昭和30年代に全国で5万を超えた業者が近年は約1万。大手メーカーにかなり集約された結果だが、町場の業者がこんなに頑張っている食品は珍しいそうだ。「泥のごとできそこないし豆腐投げ怒れる夜のまだ明けざらん」。昭和のむかし、貧しい家業の明け暮れをうたった松下竜一の歌を思い出している。
(JN) 豆腐一丁を一丁前の顔して、熱燗でいただく。話は丁丁発止に。美味しくいただけるのも、業者の皆様のおかげです。町場の皆様の頑張りにもう一丁。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO52093970V20C13A2MM8000/