オープンソース型の開発

(日経「春秋」2012/11/10付) オフィス街のショールームで、勤め帰りの女性が新車を眺めて言う。「誰か、こんなすてきな車に乗って、目の前にあらわれないかな」。梶山季之さんの小説「黒の試走車」の冒頭のひとこまだ。デザイン、性能、価格で街の人々をひき付ける。ものを作る企業には不変の課題だ。他社を出し抜くため内輪でひそかに開発し、大がかりに発表し、世間の注目を一気に集める。これが常道だった。しかしいま、半世紀前から続くこの流れとは逆のものづくりが、関心を集めているという。アイデアをネット上で披露し、改善点や参考意見、出資を募る。設計図を公開し、試作や実験への協力を企業に呼びかける。英語でオープンソース型の開発などと呼ばれる。米国の新しいものづくりの隆盛ぶりをルポした「メイカーズ」の著者、クリス・アンダーソンさんは「既存の大企業も外との交流を増やす方がプラス」と説く。ワクワクするものづくりへ、自前主義の功罪を一考する時か。
(JN) 大きなところがすべてを傘下にものを創ることから、段々に方法が変化している。ものや情報をシェアする。組み合わせる。コーディネイトする。そんな時代に移っていくのか。メーカーの在り方だけでなく、個人も自らをアピールし、情報等を提供する、一方ではシェアする時代が来るのであろうが、資本の論理ではそれが展開できるが、人間は生きるためにそれ以外に大事なものもあり、そこに新たな摩擦が生じるのか。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO48275500Q2A111C1MM8000/