「森永ミルクキャラメル」が発売されてから100年

(日経「春秋」2013/5/21付) 滋養豊富、風味絶佳、「森永ミルクキャラメル」が発売されてから来月10日で100年になる。製造元の森永製菓は関東大震災のとき、被災者の栄養補給にと、ビスケットなどの菓子を6万袋、練乳を1万5千缶、手分けして配った。「女工哀史」が描いた過酷な長時間労働の時代に社員の健康を考え、一日8時間労働を先駆けて取り入れもした。企業が大事にしていることや理念が、キャラメルの宣伝文句にも表れているように思える。創業者の森永太一郎は渡米し、日本人は差別の中、親切な老夫婦と出会って熱心なキリスト教信者になり、晩年は伝道に励む。慈愛の心は創業の精神といえるかもしれない。消費者ニーズの分析等の改善は欠かせないが、うちはどんな会社かというメッセージをもっと発信する手もあるだろう。ファンづくりの道の一つが長寿キャラメルからみえる気がする。
(JN) 理念があるからそれにしたがって組織が動くはずだが、目先の変化と組織構成員の利害に左右されるのが世の中であるので、その組織の理念を理解できるリーダーが必要である。100年組織を維持することは並大抵のことではない。森永製菓は理念を大事にしていたからであろう。また一粒一粒の美味しさも理念に基づき維持されているのであろうか。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO55277220R20C13A5MM8000/