復興しないったってさせてみせらあ

(日経「春秋」2012/10/29付) 「復興の魁(さきがけ)は料理にあり」。関東大震災ですっかり焼け野原と化した東京の銀座で、ただ1軒、掘っ立て小屋にこんな貼り紙を張った居酒屋が商売を始めた――。水上滝太郎の小説「銀座復興」だ。いま東日本大震災の被災地をめぐれば、この物語を彷彿(ほうふつ)させる人々の奮闘を知る。仮設商店街、プレハブの飲み屋や理髪店、香り高いコーヒーを飲ませるカフェ。震災から1年半を過ぎたのに、なお「仮設」で頑張るしかない現実も、そこには横たわっている。国の復興予算は本当に必要なところには行き渡らない。「復興」を「福幸」と書き換えたポスターや看板を、被災地ではよく目にする。「復興しないったってさせてみせらあ。日本人じゃあねえか」。かの「銀座復興」のなかで一本気な亭主が息巻くのと同じ声が、耳に響いている。
(JN)御国では、勢力争いに明け暮れ、困っている被災地は二の次だ。行政に頼ってなんかいられない。自分たちで復興させるしかない。政は神代の時代から、こんな状況だったのであろうか。日本はこのままで良いのか。このままでこれまでは何とかできていた。いや、このようだから、今の日本がある。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO47800810Z21C12A0MM8000/