若者にだってそれぞれの事情があり、思いがあるに違いない

  • (JN)この春の卒業生のうち約8万6000人は就職も進学もしておらず、なかでも3万3000人ほどはその準備もせずに過ごしているという。明治の末期、こういう若者が高等遊民と呼ばれた。『それから』(夏目漱石)の主人公、長井代助は「三十になつて遊民として、のらくらしてゐるのは、如何(いか)にも不体裁だな」と親になじられるわけだが、今の若者だって好きで就職していないのではない。不体裁であるかは、親が勝手に思っているのであり、若者たちはそれぞれに悩み活動している。しかし、この日本社会、指定の線路から外れての闘いは厳しい。日本社会は再トライが難しい。この一本調子の雇用制度はその中心にいる者にとって都合良い制度なのである。(日経〜春秋〜2012/9/3付について)

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO45669440T00C12A9MM8000/