今こそエンジニアの粘り腰を見せてほしい

  • (日経/春秋 2012/8/5付) 麺をゆでるとき、「びっくり水」という知恵がある。ものづくりも同じ。シャープの町田勝彦相談役からそう聞いたのは液晶テレビが好調だった社長在任中の10年前のことだ。人々を驚かせる技術革新を生むことが経営の面白さであり使命であるということだろう。テレビは「重くて長く電気も食う」ブラウン管から、軽くて薄く、消費電力も少ない液晶へ急速に切り替わった。その勢いが現在の同社にはまったく見られない。昨年度に3760億円を記録した最終赤字は今年度も2500億円にのぼる見通しだという。「びっくり水」をつぎ足しても、事業が足腰の強さを取り戻すのには遠いようだ。ここは大胆な合理化に加えて、世間をはっとさせる技術や製品を送り出し、投資家や消費者の支持を集めなければなるまい。今こそエンジニアの粘り腰を見せてほしい。
  • (JN)シャープだけでない、日本自体のこの劣勢はどこにあるのか。資本主義の波の中で生き抜いていくためには、量的拡大ができないときは質的改革を行うことが常である。これは、企業だけではない、社会全体が変わらねばならない。エンジニアを育てるにも時間がかかる。学校教育は子供たちを育てるとともに、大学は現役のエンジニアと今こそ大胆なことを起こす起爆になるべきである。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO44580620V00C12A8MM8000/