セミの鳴き声が問うもの 2407010

 夏本番、セミに『天風録(240707中國新聞)』は思う▲夏本番には何か足りぬような…▲セミの鳴き声である▲米国では一足早く、セミの大発生が話題。その数、1兆匹とも。13年と17年ごとに地上へ出てくる二つの集団の羽化が221年ぶりに重なった▲「素数ゼミ」と名づけた研究者の吉村仁さんによると、他の周期のセミとの交雑を避けて同じ周期の仲間と子孫を残すための進化らしい。数字の魔法を味方に厳しい氷河期も乗り越えた▲人間が招いた温暖化による地球の変化は氷河期の比でないとされる。「果たしてセミたちは乗り越えることができるのでしょうか」と吉村さんは著書で問う。多様な命が生き延びるすべを探せと、セミは鳴き声でせかしているのかもしれない。
 (私たちは)地球温暖化問題を理解しなければならない。コンクリートの世界、身近から土が少なくなり、蝉の穴を見ることもなくなった。蝉たちが出てくるところが限られてきている。雑木林が騒がしくなるのはいつごろからであろうか。耳鳴りさえ、かき消してくれる蝉たちの響き。風流ではないが僅かな自然の世界を大事にしたい。