プラハの春 231117

 ガザを蹂躙する戦車に『談話室(231117山形新聞)』は思う▼「言葉は、どれほど鋭くても、またどれほど多くの人々の声となっても、一台の戦車さえ破壊することができない」(加藤周一)▼55年前の1968年、「プラハの春」にソ連が軍事介入し民主化運動が潰えた▼加藤さんは記す。戦車は、市民の声を全て沈黙させる。だが戦車は「存在そのものをみずから正当化することだけはできない」。戦車が「圧倒的で無力」なのに対して、言葉は「無力で圧倒的」▼現在、パレスチナ自治区ガザ、住民を巻き添えにしないよう求める声に反し、イスラエルはガザ市の病院を攻撃。電力が足りない病院では赤ちゃんを含む三十数人が犠牲になったという。ならばたとえ無力であっても反対の声を上げ続けるしかない。
 (私たちは)戦車の圧倒的力に泣き叫ぶし人々に何ができるのか。言葉しかないのか。圧倒的力の差がありながら、無力の病人や赤子を殺戮するその心理は何だ。これを止められない他国の無力よ。言葉も出ない、わが身の無力よ。