NO! 231105

 米国の絵本作家による「やめて!」に『編集日記(231104福島民友)』は思う▼男の子が大統領に宛てた手紙を投函しようと歩き始める。道すがら、頭上すれすれの爆撃機による空爆や、戦車による住宅への砲撃などを目にする。それでも、男の子は黙々と歩き続け、ポストにたどり着く▼手紙を出そうとしたら少年に殴られそうになる。男の子はひるまず「やめて!」(原文はNO!)と叫び投函する。帰り道は、戦火がやんだ穏やかな街に一変していた。米国の絵本作家による「やめて!」(柳田邦男訳・徳間書店)は、言葉がほとんどない作品だけに、このひと言は心に迫る▼イスラエル側に手を緩める気配はみられず、停戦への道は閉ざされたままだ▼やめて! 遠い地から声を上げ続けていく。
 (私には)イスラエルの人々の心の奥底を知ることができない。しかし、この惨劇に目を瞑ることはできない。多くの地域で抗議が起きている。「やめて!」 一人ひとり考えは異なり、その奥底を互いに理解することはできないが、私たちにはコミュニケーションによるつながり、自制、妥協があるから社会は成り立っているのではないか。