水に流されては 230822

 福島第一原発の処理水について『天声人語(230822)』は思う▼中国政府は「安全ならば、海に流す必要がない」と▼ひどく乱暴な主張である。ただ、日本政府の姿勢も胸を張れるものには思えない▼気の遠くなるほどの大量の地下水は雨水が原発内に入り込み、放射能に汚染されている。これ以上ため続けるわけにはいかないと、無理やりの放出▼原発事故は修復できないほど、豊かな自然を破壊する。なし崩しに各地で再稼働の話が進むのも理解しがたい▼政府と東電は「関係者の理解」なしには行わないと言ってきた。話が違うのではないか。それもこれも一緒くたにして、水に流されてはたまらない。
 (私たち)国民は、種々問題について、政府に上手に騙されてきたとは言わないまでも、説き伏せられている▼これを有能とは言わないが、無能な指導者は強行突破行う。今回、過去の負の遺産を受け継いだ指導者を有能とは思えない。溜まりきった処理水の海への放出を説き伏せることはできていない▼この処理方法は他にないのか。この現実を政府や電力会社等原発推進者たちはそのことも考えずに、再稼働を行うのか。

*画像は、朝日新聞(23年8月22日)の朝刊より。