大英博物館の収蔵品に紛失や盗難、損傷があったとして先週、職員1人の解雇が発表されたことに『余録(230822)』は思う▲失われたのは展示はされず、研究のために保管されていた▲今回は職員の関与が疑われるため館内の衝撃は大きい▲大英博物館に対しては、ギリシャ政府がパルテノン神殿・彫刻コレクションの返還を求めているほか、エジプトやナイジェリアなどからも「文化財」の返還要求が出ている。博物館側は、英国は政情が安定して収蔵品が散逸する可能性が低く、世界の人々の公益に資すると説明してきた▲収蔵品は人類の歩みを示す世界の宝である。それを預かる誇りを忘れてほしくない。
（私は）疑問に思う。そのお宝がいかに大事なものかわかっている者が、なぜ盗みを行ったのか。盗もうというその欲望の力は何だったのだろうか▲人間には自分の欲望をコントロールできないのか。誇りより欲望が優先される社会では、歴史的なお宝から他国の地域の一部まで、盗み取られる。それは繰り返されるしかないのか。
