『感動とは人間の中にではなく、人と人の間にあるものだ』

『感動とは人間の中にではなく、人と人の間にあるものだ』<2018年3月29日(木)>
 何の希望も持てぬまま、非行に走っていた子どもたちを救い上げてきたホセ・アントニオ・アブレウさんの死を『筆洗』(180329)は惜しむ。「『エル・システマ』という音楽教育、とにかく子どもに楽器を持たせ、合奏させた。下手でもいい。ちょっと弾けるようになった子が、できない子を教える。音楽が響き出せば、たとえ拙くとも、子どもたちはそこに自分が必要とされる場所を見いだす。そういう試みだ。そうして生まれた音は世界を驚かせた。そのオケ『シモン・ボリバル交響楽団』は、欧米で最も切符が取りにくいオケの一つとなった。フルトベングラーは『感動とは人間の中にではなく、人と人の間にあるものだ』と語ったそうだが、アブレウさんは、人と人とを音楽でつなぐことで、感動の調べを世界に響かせたのだ」。
 (JN) 人間たちがこれだけ地球上に栄えて来たのは、様々なつながりを作って来たからであろう。脳みその中から地球上まで、如何につながっていくかのか。そして、生きていくためにはその存在意義が必要だ。他者を認め合い、何かによってつながることである。このことは誰にでもわかる話だが、それを実行することができない。ホセ・アントニオ・アブレウさんには、それができた。非行の子どもたちのナイーブな心を魅了した音楽教育。78歳で逝った彼の意志を私たちはそれぞれのできることでつないで行かねばならないだろう。本当は、この社会の犠牲者を生み出さぬ世の中にしなければならないので、そのための活動が必要である。でも、この世が非行に走る子供たちを生む世界である以上、また当分はそういう世の中である以上、一方ではこういった活動は続けねばならない。ホセ・アントニオ・アブレウさん、有難うございました。