子どもの声が届かない 230803

 「長野の子ども白書」に『天風録(230802中國新聞)』は思う▲井上ひさしさんは長く覚えていた。〈胸のどきどきとくちびるのふるえと〉と題する一編▲「詩は劣等感で押しつぶれそうになっていた田舎の新制中学生を、以後何百回と励ましてくれた」▲「白書」の最新版で、そんな逸話を引いている▲教育や福祉、医療などの現場で子どもに接する人々が寄稿した白書の巻頭特集は〈子どもの声が届かない〉▲耳慣れた一節も白書には見える。「私たちのことを私たち抜きで決めないで」。障害者差別の解消を求める当事者の合言葉である。口ごもり、唇を震わせる子どもの胸の奥にも耳を傾けないと。
 (あなたは)どうですか。大人は子供であった頃のことを忘れてしまい、大人の枠の中に子どもを納めようとしていませんか。また、大人は高齢者となり、様々不自由となって行くが、それを想像できていますか▲皆、自分とおんなじと思っていませんか。私たちはそれぞれに違う。できることとできないことがある。それを言える人と言えない人がいる。助け合おう。子供少なければ、未来は誰が背負うのか。