『人を縛りつけているうちに、産業自体が傾いた』

『人を縛りつけているうちに、産業自体が傾いた』<2018年2月24日(土)>
 「公取委がようやく、人材の過剰な囲い込みなどを独禁法違反とする指針をまとめた」。『春秋』(180224)はかつての日本の映画会社の繁栄と没落を思う。「シネマ全盛期を支えたシステムだが、弊害も見逃すわけにいかない。各社がスターの引き抜きを防ぐ協定を結び、背いた俳優はどの会社でも使わないことにしていた。・・・芸能人やスポーツ選手だけでなく、フリーランスで働く人が増えてきたことに合わせた対応だ。新しい働き方を後押しするには労働法制の整備も大事だが、独禁法の守護があれば一段と心強い。フリーランスの多くが、かつての映画会社の俳優みたいな扱いを受けている現状があるのだ。ちなみに往時の協定は、ほどなく先導役の大映が倒産して自然消滅した。人を縛りつけているうちに、産業自体が傾いたのである」。
 (JN) 私たちの様々な能力は、この肉体の中に備わっている。従って、労働力を売ることで生活費を得ており、心や体は売っていないが、実際は労働力を売ることで、心身が拘束されている。雇われている身は弱い。その職場での能力があろうと無かろうと、見えない何かに縛られている。能力のある売れっ子は、そんな束縛から脱して、独立したいであろう。そうでない者はその職場にしがみつく。社会にとってこの現象は有効であるのか。個々人にとっては幸福なのか。雇われる側は連帯をすべきであるが、できているであろうか。使用者側の方が賢く連帯を結んでいるのではないか。立法は、弱者の労働者たちを救うことを努力しているのか。圧倒的与党は立法の者ではなく、行政の僕になっていないか。世の中、血の巡りが悪くなってきているようである。これを革新でないものか。とりあえず、雇われの身の私は日曜日にゆっくりお休みしましょう。そして、数時間でもこのような世の中から脱するために映画でも観ますか。