『パリ協定からの米国の脱退宣言をどう考える』

『パリ協定からの米国の脱退宣言をどう考える』<2017年6月3日(土)>
 トランプ大統領のパリ協定脱退の宣言に本日(17年6月3日)、数紙は述べる。「春秋」は、「現在、大統領の米国での支持率は4割という。シロクマやペンギンはじめ世界中の動植物にもし聞けたなら、その支持率いかほどか」と言う。「天声人語」では、「恩を着せられたピッツバーグだが、市長はツイッターで『私はパリ協定の指針に従うことを保証する』。大国の離脱にゆるみ、世界が対策をサボり出す。絶対にあってはならないシナリオである」と述べる。「余禄」は、「互いに苦労して積み上げた地球規模の取り組みをだいなしにした『米国第一』だった。政府がだめなら、市民、企業、自治体で続ける温暖化対策の取り組みで守るしかない21世紀の米国の指導力だ」と期待する。「筆洗」は、「メルケル独首相が語った言葉だ『私たちが他の人(国)に頼り切る時代は過ぎ去りつつある。自分たちの将来のために自分自身で闘わなくてはならないことを、私たちは知るべきだ』。米国でも、『政府に頼らずに自分たちで温暖化対策を進めていこう』と声を上げ始めている」ことを紹介する。
 (JN) 経済発展を願う方々の意見に従えば、スクラップアンドビルドがその原動力である。技術革新にて質的変化を齎し、そして量的拡大をして行き、それが行き詰まるとまた質的改革を行う。ところがトランプ氏は旧態依然を維持し、自分の立場を維持しようとしているのか。これでは米国は発展を遅らせるだけで、良いことはないのではないかと賢人たちは言う。でも、例えば石炭業界の労働者たちはそんなことは考えもしない。自分たちの仕事が維持され、家族を守ることができるか否かだ。トランプ氏はそういった労働者の味方のように振舞うが、どうなのであろうか。米国の大きな所得格差を生んでいる経済構造、これを変革しない限り貧困労働者の生活改善はならないが、それはトランプ氏が望まないであろう。それを隠す手段として、パリ協定脱退のポーズをとるのではないか。