『「おやめなさい」と大統領を諭す神は現れぬのか』

『「おやめなさい」と大統領を諭す神は現れぬのか』<2018年5月10日(木)>
 米国のイラン核合意からの離脱と経済制裁の再開に、『筆洗』(180510)は、イソップの物語を引用する。ヘラクレスが敵愾心のリンゴを踏みつけて四苦八苦。殴れば殴るほど大きくなり蜜をふさぐ。ここでお話ではアテナが出て来て、おやめなさいと言う。「放っておけばそのまま。もみ合うほどに大きくなる」。「見直したいのなら、他の方法もあっただろうに、一方的離脱で踏みつけ、経済制裁のこん棒で殴りつけるとあってはイラン国内の『敵愾心の精』も黙っていまい。中間選挙を見据えたトランプさんのオバマ政治に対する否定やあてこすりの面もあったと聞けば、こちらのいらだちのリンゴも大きくなる。『おやめなさい』と大統領を諭す神は現れぬのか」。
 (JN) 地位と金を得たら、名誉や勲章が欲しい。世界一の軍事力を持っている者は、よほどのものでない限り欲望を抑えられない。結局、米国の資本力と軍事力に正面から抵抗できるものはいない。ジャイアンの力にのび太たちは敵わない。力尽くで押さえつけられてしまう。イソップではアテナが諭すが、現在にそのような者はいない。日本のものなら、「ドラえもんがいればな」と思ってしまう。弱き者がバラバラでは強気ものに勝てない。だから、トランプは多国間の協定を嫌う。一対一でやっていれば、負けない。そして、弱者間で敵対させればよいのである。しかし、我々は何と愚かなことか、国内でも国外でも、強気ものの傘に入ろうとし、邪魔者はその傘の外に蹴落とそうとする。