『母の手は赤子となりて介護士の豊かな胸をそっと触りぬ 及川内子』

『母の手は赤子となりて介護士の豊かな胸をそっと触りぬ 及川内子』
 「お年寄りの心に寄り添う喜びや戸惑いも、その命や健康を守る技能や体力も、老人ホームや介護施設で働く人々がひそかに誇りとするところだろう」。「余録」(毎日新聞/2016/2/17)は、川崎市幸区の有料老人ホームの事件を「胸ふさがるニュースである」と。「昨年度の介護施設などの老人虐待は300件に達し、調査開始以降8年連続で過去最多を更新した。背景には厳しい介護現場のストレスや、人手不足に低賃金という構造的要因も指摘される。『感謝の言葉をかけられるのがやりがい』。容疑者は話していた。はなからのうそか、一時はそう思った心に何かの魔がとりついたのか。介護の現場で生まれた不気味な悪意の正体を知りたい。」
 老人の介護は、肉親でも辛く、トラブルが起きる。コミュニケーションが上手に行かず、体も心もいうことをきかない。介護の業務は、仕事であるとは言え、労働条件や手当は良いとは言えない。これからどんどん老人は増えて行くのに、なり手がない。私たちは、これから誰のお世話になるのか。これは、もうロボットしかないであろうか。介護付きロボット老人ホームにお世話になり、安全な暮らしのなかで、息を引き取って行くようになるのであろうか。それなら安心、美人やイケメンロボットに囲まれて、裏切られることなく、幸せな最期を迎えられる。否、迷惑かけても、子供たちと一緒に過ごす方が幸せなのだろうか。(JN)