『ドラゴンズの山本昌広投手、五十歳まで現役を続けられたのは』
「両親に本当に感謝している」、山本昌広投手のこの言葉、東京新聞「筆洗」(2015年9月28日)は、「派手さはないが、じんわりと心に効いてくる名言か。あのさして速くもない直球のように」と称賛。
「野球選手の引退には名言が生まれやすいものらしい。『きょう、私は地球上で最も幸せな男だと考えている』は、ニューヨーク・ヤンキースの強打者、ルー・ゲーリッグ一塁手の引退スピーチ(一九三九年)である。三十五歳で筋肉が萎縮する病に倒れ、引退。三十七歳の若さで亡くなっている。引退スピーチは難病であることを告げられたわずか二週間後のことである。ゲーリッグとは違い、本当に『地球上で最も幸せな男』といってもいい一人の野球選手が引退を表明した。中日ドラゴンズの山本昌広投手である。本人の声明に「両親に本当に感謝している」とあった。派手さはないが、じんわりと心に効いてくる名言か。あのさして速くもない直球のように。」
あの右打者の外角に打てそうな球が来るが、バットは空を切る。山本昌広投手に何度悔しい思いをさせられたことか。それにしても、50歳とは大したものである。「両親に本当に感謝している」と、丈夫な体であったろうが、壊れない衰えないための気遣いと手入れがあったのだろう。とにかく、50歳まで集中できたその能力に拍手を送りたい。そして、ご苦労様でした。(JN)