「度を越してはならぬ」。「汝(なんじ)自身を知れ」

「度を越してはならぬ」。「汝(なんじ)自身を知れ」
 オリンピックの故郷のギリシャは、いま世界経済の注目である。これについて、東京新聞「筆洗」(2015年6月30日)は、古代ギリシャの格言を引っ張り出している。
 「ギリシャ映画の『日曜はダメよ』で、娼婦イリヤギリシャ悲劇の粗筋を米国男性に語る。彼女は悲劇をすべてハッピーエンドに変えてしまう。『王女メディア』も、『オイディプス王』もイリヤにかかると、誰も殺されず、最後はみんな仲良くなる。イリヤほどではないにせよ、陽気で楽観的な国民性のギリシャの方々がこの『悲劇』をどう乗り切るのか。債務不履行の現実味が強まっている。チプラス首相は二十九日から銀行の営業を停止すると発表した。銀行は日曜日どころか平日もダメよとなった。『最後はギリシャもEUもみんなで浜辺へ行きましたとさ』となるか。アポロン神殿の入り口に刻まれていたという古代ギリシャの格言が役に立つか。EUに対しては『度を越してはならぬ』。そして、ギリシャには『汝自身を知れ』である。」
 何を良しとすべきなのか。ユーロ通貨で統一された枠の中では、これまでの通貨の相違による価値変化の経済理論が通用しないので、経済力のあるドイツの一人勝ちで、経済力のない国は浮かばれない。通貨統一とともに、国家の枠を取り外さねば、ユーロ圏はアンバランスが拡大する。確かに、ギリシャ国家がこの為体であるのは問題があろうが、個々の国家の特性を活かしながらも、それにより生じる現象を全体で理解して行かねばならない。例えば、ユーロ圏を日本や中国に置き換えてみるとどうだろう。日本国内においても経済アンバランスが生じている。起きていることが当たり前であり、そう考えれば、ギリシャが全面的に悪いわけではない。これを中国で考えてみれば、経済格差は暴力による行動にまで発展している。ギリシャはそうではない。身勝手だが、ギリシャがんばれ、ドイツに負けるな。そして、「無理な誓いはするな」。