南沙諸島では南洋の神話も顔負け

 中国の南沙諸島での行動を、日経「春秋」(2015/6/14付)は、そのリスクを指摘する。
 「かつて南太平洋のマライタ島の住民はサンゴ礁に石で造った人工島に住んでいた。世界の始まりを語る「創世神話」を再現しているという説が、太古の青い海へ空想をかきたてる。人工島を造って住むのは『創世神話の再現であり、祖先に感謝し、海の民の誇りを確認する意味がある』。海の向こうに神の島がある。仙人が住み、不老不死の薬がある。薬を求め始皇帝など歴代皇帝は大船団の探検隊を派遣したが、いずれも失敗した。ここ数年、南シナ海などへしきりに船を出し、海洋活動を強めている。南沙諸島では南洋の神話も顔負け。滑走路や桟橋、ビルまで建てた。ただの人工島ではない。実態は立派な軍事基地だ。そこには海の民の誇りはかけらもない。幸せの妙薬どころか、不測の衝突も招きかねないリスクが膨らみ続けている。」
 海の向こうには何があるのか。私たちを幸せにしてくれる神の島がある。そう夢見て船出をするが、神の島などない。東京湾には夢の島があったが、それは人工のゴミの島であったが、今は夢を乗せているかもしれない。私たちは、自分たちで幸せな島を築いていかねばならない。でもそれは、分捕り合戦であってはならない。況してや、人のものを取ってはならない。しかし、中国は、この世界が中国なのであろう。また、中国の現国内も大きな世界、その世界の人口を押さえつけて行くためには、資源と権威を維持するために、できることは何でもしなければならない。相手が弱いとみれば、強引に力尽く、隙あらば、先んずれば人を制す、夢を見るゆとり無く、唯、現実に押されて行くのみである。