ナッシュ夫婦、向こうでも寄り添い支え合っているに違いない。

ナッシュ夫婦、向こうでも寄り添い支え合っているに違いない。
 ジョン・ナッシュが交通事故で亡くなった。日経「春秋」(2015/5/28付)は、この学者のゲームの理論と夫婦について論じている。「『結婚はもっとも不思議な人間関係である。うわべだけに見えて、その結びつきは驚くほど深く長い』と。ナッシュ夫妻にも、まさにそんなつながり、互いを必要とする関係があったという。若き天才は「ゲーム理論」の分野で革命を起こした。理論は人の行動を捉えているが、実人生は理論通りにはいかなかった。統合失調症を発症して、人との関係を恐れた。入退院を繰り返し、離婚する。一時は路上生活に陥りかけたが、妻の提案で再び一緒に暮らすようになった。献身のかいあってか、徐々に回復し、94年にノーベル経済学賞を受賞する。『今夜私があるのは、君のおかげだ。君がいて、私がある』。理屈や損得だけでは測れない、不思議な結びつきを深めていたのだろう。先日、二人は交通事故でともに亡くなったが、きっと向こうでも、寄り添い支え合っているに違いない。」
 夫婦とは、いかなるものか。助けあう二人の誓いを法的に縛るものなのか。そんな理屈は別として、他人同士の一つ屋根の下でのゲームの始まりなのであろうか。私のようないい加減な者は、負けっぱなしのゲームである。妻に頭が上がらず、助け合いではなく、助けられっぱなしである。それでも一緒に歩んでくれる伴侶、感謝、感謝であります。そうなのに、妻にはつい文句を言い、へそを曲げさせたりする私に、子供たちが「おやじ、仲良くできないのか」と言われるこの愚かさか。負けっぱなしである。ナッシュ先生は、私以上に妻の力を感じたことだろう。夫婦関係では、ゲームの理論は成立せず、負けっぱなしであったろうか。ナッシュ夫婦一緒の事故をなんとも表現できない。今後も一緒に仲良く、アリシアさんとジョンさんのご冥福を祈ります。