せわしい時間から解き放たれる年末年始に、深呼吸して考えたい

(日経)「春秋」2013/12/26付) 米軍機に追いかけられた。太平洋戦争の時代に育った親、学校からの帰り道、グラマン戦闘機が1機目の前に迫ってきた。機銃掃射が怖かった。身を伏せ死を覚悟した瞬間、頭上すれすれを飛んで去っていった。そのとき操縦席にちらりと人の影が見えたという。子供だと分かり撃つのをやめたのか。いま無人機の実用化が進んでいる。農薬の散布やピザの宅配は便利そうだが、軍事用となれば話の次元が違う。ロボット兵器の計画もあると聞く。警告や投降の無線交信も通じない。無言の機械を相手に感じるのは底知れぬ闇でしかない。原子力や生命工学、情報通信網は人間の想像力を追い越し、今は人間の側が必死に技術に追いつこうとしているようにみえる。便利さを喜ぶうちに、自分の命まで削ってはいないだろうか。せわしい時間から解き放たれる年末年始に、深呼吸して考えたい。
(JN) 「グラマンに追いかけられた」という話は父から聞かされた。防府の部隊にいたため終戦間際に、必死に銃撃を交わしていたようだ。また父から必死に逃げたことを聞いた。それは八ヶ岳の尾根で雷に追いかけられた時のことで、どう逃げてよいのかわからず、金属物を捨てまくったようだ。いずれも、それなりに相手の行動が予測できたので、今私が存在しているのであろう。もし、これが無人機であったら何を考えているのかわからずどうなっていたか。但し機械はそのプログラムさえわかれば敵ではなくなるが、このプログラムが壊れたりして暴走したらどうなるのであろうか。一日の生活で常に機械のお世話になっているので、彼らがストライキを起こしたらお手上げである。そんな世界から脱出してのんびり暮らせるのが、冬期休暇期間であるので、スマートフォンも家に置いて出かけよう??
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO64593810W3A221C1MM8000/