通奏低音のように街全体を包む狭い路地の看板

(日経「春秋」2013/5/10付) 東大阪市は6千の町工場がひしめくものづくりの街である。機械の音が通奏低音のように街全体を包み、狭い路地に金属と油の匂いが漂う。その看板を眺めながら歩くと、この街は看板に偽りが多い。会社の名前に「○○ミシン工業」「××バネ製作所」などと記しているのに、実際は全く違うものをつくっている。トヨタ自動車の利益が1兆円を超えた。記者会見で「スタートラインに立っただけ」と語る豊田章男社長の目の光が強かった。その大企業の陰には、無数の縁の下の力持ちがいる。その看板に偽りはなぜか、東大阪の職人がよく口にする言葉は「どないかします」である。こんな部品をつくれるかと聞かれれば、決して無理だとは言わない。次々と大企業の要望に応えるうち、いつのまにか「本業」からずれていった。偽りの看板は進化の証しでもある。
(JN) 日本の中小企業の技術者には不可能はない。何でも作ってしまう。その進化があるから、日本は進歩してきたのであり、それが大企業の陰に隠れている。そして、景気が良かろうが派手なパフォーマンスやなく、プロとして着々と行っている。跳ね上がった電気代にも負けず進化を遂げて行く、これが日本だ、偽りのない日本の企業だ。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO54836930Q3A510C1MM8000/