言動は七変化、規則無視の国である

(日経「春秋」2014/7/3付) 空は暗い灰色でも、そこだけが薄明るい。瑞々(みずみず)しさに目がやすらぐ。淡青から藍、紅紫へと日々、色合いが移ろってゆく。変移の様子から「七変化」とも呼ばれる。「紫陽花(あじさい)や藪(やぶ)を小庭の別座敷」。実は、花は毬(まり)状ではない。花が終わっても、飾花4枚が残るガクアジサイ。一目では気づかない。調べつくして、初めて分かる面白み。目から鱗(うろこ)の解釈だった。300年以上前の句の心を読むのは謎解きに近い。歌仙は36の連句型式。季語、順番に厳しい「ゲームの規則」がある。手順、手続きを踏んで調べれば、見えなかったものが見えてくる。詩人はそう言っていた。言葉の正確な読み解きは新鮮な景色を見せてくれる。半面、意味を取り違うと思わぬいざこざを招くこともある。拉致被害者をめぐる北朝鮮との協議を受けて政府が制裁解除を検討している。特別調査委について「丁寧な説明」があったという。手順を踏もうにも言動は七変化、規則無視の国である。よほど心して言葉を読まないと、相手の本心は見えてこない。
(JN) 隠しごとを隠しながら状況説明をするというのは、大変に難しかろう。北朝鮮の正義とはいったい何なのであろうか。本来ならば、北朝鮮共産党国家であるから、マルキシズムの正義があるのだろうが、どう見ても、ここにはマルキシズムの正義などない。正義なく、偽りの国の中から真実は出てくるのであろうか。金さんの正義があるのか。これは七色に変化する正義か。民主主義の正義に基づく考えにより、調査は行われなければならないが、金正義に基づく決められた結果を出すために調査のであろう。期待はできないが少々の発見は出よう。期待は禁物であろうが、少しずつ実態を掴んでいきたい。少しずつ、少しずつ、明らかにしていくしかない。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO73704680T00C14A7MM8000/