論文不正問題の根幹に迫れ

(日経「社説」2014/5/9付) これで調査を尽くしたと言えるのか。論文不正問題をめぐる理化学研究所の対応には、首をかしげざるを得ない。小保方晴子氏らが発表した「STAP細胞」論文には捏造(ねつぞう)や改ざんがあったと認定し、これに小保方氏側が不服を申し立て再調査を求めていた。日本を代表する研究機関で起きた不正疑惑は、日本の科学研究への信頼を揺るがしている。調査委が調べたのは画像の切り貼りなど6項目に限られ、なぜこうした問題が起きたのか根幹まで踏み込んでいない。学会など第三者が調査し、真相を究明すべきだ。理研は小保方氏の発想力を評価して採用し、経験不足を補うため補佐役をつけたという。ベテランが若手を厳しく指導し、独創的なアイデアを育む環境をどうつくるか。教訓を洗い出し、他の研究機関でも生かさなければならない。STAP細胞が存在するかどうかは、理研が計画しているように第三者をまじえた再現実験の結果を待つ必要がある。それとは別に、理研は論文作成から発表の過程を改めて検証すべきだ。
(JN) なんだかすっきりしない。理研は、全てをこれで終わりにしたいのか。あとは、小保方氏、個人の処分で終わってしまうのか。「STAP細胞」、「若い女子研究員」、「人類の未来は」・・・・、派手に打ち上げたアドバルーン、この不始末は、どうなるのか。抑々、画像の切り貼りは、学生たちのような者から、かなりの研究者まで蔓延っていると聞く。この便利な作業は、どこまで良くて、どこから不正なのか。小保方論文が不正であるなら、同じような不正論文は、どのくらいあるのか。その昔は、画像表現などできず、計算式と文章で表現するしかなかったが、目に見える表現は、かえって騙されるのか。見えるという現象ほど怪しいものはないのか。これを機に、理研は、様々な見直しを行うのであろうか、それとも一個人の中に仕舞いこんで終わりにするのか。日本の科学の行方は、どうなるのか。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO70910050Z00C14A5EA1000/