農協に、自己改革の意気込みがあまり感じられない

(日経「春秋」2014/4/8付) 必要なものを、必要なときに、必要なだけ――といえば、ひろく知られたトヨタ生産方式だ。この方式は、じつは意外なところからヒントを得た。米国のスーパーマーケットだ。トヨタ自動車の技術陣はピンときた。日本にまだスーパーが登場していない昭和20年代のことだ。異質なものに触れることで、自らが変わる。いまトヨタに、農業が学ぶ。コメ生産の農業法人の間では、トヨタ生産方式にならった経営の効率化が広がり始めている。多めに作っていた苗は必要なだけの量にする。田植えや収穫の時間もIT(情報技術)で管理。作業の無駄を徹底的に省いて、資材費や労務費を削減する。野菜や果物にも「カイゼン」が広がれば日本の農業はぐんと強くなる。心配なのは農協に、自己改革の意気込みがあまり感じられないことだ。国際競争に勝てる農業を、という世の中の期待が伝わっているのだろうか。タコツボでは困る。
(JN) 工業製品と異なり、農産物は、資本が自由にできない生産物である。IT化で管理をするといっても、自然の影響を大いに受ける。それを考えると、できるだけ多くの生産をすることとなってしまう。自然はコントロールできないから、自然に負けないようにする工夫が、文明の始まりから人々は行ってきた。どう「カイゼン」できるのか、まずは国の保護からの脱却であろう。農業協同組合の在り方も含めて、生産者が生産を安心してできる環境を自ら作っていくことなのであろう。農協に頼っていては「カイゼン」は生まれないかもしれない。生産者自身が自ら「カイゼン」を行い、個人や企業が競って美味しいものを生産し、それは日本国内だけではなく、世界中の人々に安全で美味しい日本の農産物を食べてもらいましょう。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO69547590Y4A400C1MM8000/