大切なのは、子供が自ら育っていく環境をつくること

(日経「春秋」2014/1/18付) 茨城県の伝統工芸品、笠間焼の窯元が開く陶芸教室は、親よりも小学生らの子供たちが真剣なまなざしだ。「子供たちには頭の中にあるものをアウトプットしたい本能がある」。その力をどう引き出すかが大人の腕の見せどころだ。終戦後も作戦解除命令がないためフィリピンのルバング島に潜伏し、1974年に帰国した小野田寛郎さんも挑戦していた。ブラジルの牧場経営を軌道に乗せてから福島県塙町に、キャンプ場を設けて野外生活を体験させる「小野田自然塾」を開いた。食材や炊事道具を草むらなどあちこちに隠しておき、子供たちは見つけたもので夕食をつくる。自身の30年にわたるサバイバル経験をぶつけた指導だった。「子供が自発的に自分の能力を見いだす手助けをしたい」。大切なのは、子供が自ら育っていく環境をつくること。戦争、教育……。いろいろなことを考えさせた元兵士の訃報だった。
(JN) 小野田さんがルパング島で発見された時、戦争にのめり込んで行った日本の教育の恐ろしさを思った。降伏せず戦い抜こうとここまで頑張った人がいたとは。自然の中で生き抜いた小野田さんは強かった。ひ弱な私たちも、自然の中でサバイバル経験をすべきかもしれない。インターンシップのような社会経験とともに、サバイバル経験を授業に取り込み日本にいる若者を強く鍛えてはどうだろう。そういった教育から自然に対する興味も湧くはずだ。小野田さんの御冥福をお祈りします。
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