田舎の中学校長のような顔

(日経「春秋」2013/12/15付) 「田舎の中学校の校長先生のような顔」、先ごろ死去した辻井喬堤清二)さん、実直で清廉で頑固、政治家・伊東正義が生まれて100年目がきょうにあたる。大物候補が軒並み金銭スキャンダルにまみれた1989年、金にきれいなこの人しかないと請われた首相就任を断った。「自民党という本の中身を変えず表紙だけ変えても意味がない」と語ったという。大平が選挙直前に急死した80年、官房長官だった伊東は首相臨時代理になったが、その36日間、官邸の首相執務室を決して使おうとせず、閣議では首相の椅子に座らなかった。話の数々はよく知られていても、日がたつにつれ、為したことばかりが幅を利かせて記録にも記憶にも蓄えられていく。そういえば、田舎の中学校の校長先生のような顔を最近見ない。
(JN) 日本の政治は誰のためにあるのか。政治家は初心の我が精神を忘れることが常か。「自己の主義主張を曲げることなく信念を貫いて行動したものであり、いささかも恥じることではありません。世渡りは下手ですが、一人りくらい愚直な人間がいても良いと思っております」。そんな校長先生は日本にまだ居ることでしょうが、自民党にはいかがか?
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO64115470V11C13A2MM8000/