(日経「春秋」2013/12/7付) 人には忘れられない日がある。たとえば1994年4月27日。ネルソン・マンデラ氏はこの日、全人種による総選挙の投票に出かけ、生まれてはじめての投票を「民主主義の正義の圧倒的勝利だ」と振り返っている。12月5日、マンデラ氏死去の日が忘れられない日になった人も世界中に数え切れないほどいるのだろう。そしてまた一つ、忘れられない日が日本にはできてしまったのか。そんな自覚は与党にはさらさらなかろうが、特定秘密保護法の成立はそれほど重い。菅官房長官が「法案の内容について(国民には)まだご理解いただいていないんだろうというふうに思う」「成立後も、1年後の施行までに真摯に説明していけばご理解いただけると思う」と。ご理解いただけないというシナリオが浮かばぬことが理解できない。マンデラ氏の95年の生涯を一言で評すれば「不屈」である。到底その足元に及ばぬにしても、これからの1年、理解できないことにはノーと言い続けること。それだって大切な「不屈」に違いなかろう。
(JN) ノーと言えない日本人でありますが、ここは心変わりもせずに、マンデラ氏のように「不屈」の精神で、「民主主義の正義」を得たいので、自民党の「圧倒的な勝利」に屈することなく、1年間を過ごすことだ。自民党のどなたかは、国民を痴呆症の如く、1年経てば忘れるようなことを言っていたが、それが現実とならないようにせねばならない。マンデラ氏の1世紀近いその強き精神を見習おう。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO63737700X01C13A2MM8000/